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古武術介護と腰痛予防

古武術介護の講座に参加した方々からよく、「古武術介護をはじめてから腰痛が軽減した」という声をいただくことがあります。

私自身は腰痛予防を意識して介護に取り組んだことはありませんが、古武術介護に取り組んでからはもちろん、現場で働いてから10数年以上経ちますが、一度も腰を傷めたことはありません。

身体介護によって腰痛を起こすのは、「仕方のないこと」「必然」のように指摘されることがありますが、私は必ずしもそうは言えないのではないか、と考えています。

私は、腰痛を起こしてしまう大きな原因の1つに、教科書や講習会で学んだ「技術」を、どんな場面でもそのまま適用しようとしてしまうことがあるのではないか、と考えています。教科書や講習会での介護に「こうやりましょう」「これが正しい方法です」と書かれていると、素直な人ほど、どんな場面でもそのままその方法を適用しようとしてしまいます。

実はこれが罠なのです。教科書や講習会でいちばん多く教えられる方法は、介助を受ける人にある程度筋力や意識が残っている、「一部介助」の技術です。しかし、腰痛を起こしてしまうような厳しい介助の現場では、被介助者にほとんど残存能力が残っていないケースが少なくありません。

一部介助の技術を、全介助の状況でそのまま使おうとするとどうしても無理が生じます。その無理が、介助者の負担となり、腰痛を引き起こすのではないかと思うのです。

古武術介護は、「これが正しい」という方法を提示しません。根本的な身体の使い方の改善を進めながら、個々の技術についてはその都度、状況に応じてアレンジしていきます。古武術介護に取り組むことによって腰痛が軽減した、という方は、おそらくそうした考え方を十分に理解して古武術介護に取り組んでいた方ではないかと思います。

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逆に言えば、古武術介護の書籍や講習会で私が紹介した技術を、状況に合わせたアレンジを行わずにそのまま現場の場面で無理に行おうとすることは、やはり腰痛をはじめとした故障のリスクを高めることにつながってしまいます。

「絶対安心、安全な技術」というのはありません。常に試行錯誤しながら、1%ずつでもいいから改善していく、ということが、古武術介護の基本となる考え方です。腰痛予防についても、特効薬はない、ということを理解したうえで取り組んでいただければ幸いです。

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