古武術介護ってなに?
「古武術介護」といっても聞きなれない方も多いでしょう。一言でいうと、日本に古くから伝わってきた武術の身体の使い方や考え方を取り入れた、身体運用の改善と介護技術への応用の取り組みです。
現代人の身体の動かし方は、一般的に筋力を中心としたものですが、これは明治以降、欧米の文化が入ってくるなかで定着したものだという説があります。「古武術」の動きは、欧米の影響を受ける以前の身体の使い方であり、そこには、筋力に頼らない、質的な転換によって効率よい動きをめざすという特徴があります。
「古武術介護」は、そうした「古武術」の身体技術や発想を、介護はもちろん、日常生活や子育て、スポーツなど、さまざまな現場で生かすべくアレンジしたものです。個別の技術よりも、すべての身体動作の基盤となる「身体の使い方」を改善していくことをめざした取り組みです。
私がこうした取り組みをはじめたのは、2005年頃からですが、2006年に刊行した『古武術介護入門』という本がきっかけで広まったこともあり、「古武術介護」という名前が定着しました。上記のように、必ずしも介護技術に限った取り組みではないので、「古武術介護」という名前は、あくまでニックネーム程度にとらえていただいたほうが、誤解がないかもしれません。
いままでの介護技術とどこが違うの?
超高齢化社会を迎える日本では近年、介護の話題を耳にします。そのなかでもつとに深刻になってきているのが、介護者が、介護を行うなかで自らの身体を痛めてしまうという問題です。古武術介護の原点には、そうした「介護者の身体」をいかにして守っていくか、という問題意識があります。
しかし、古武術介護は「従来よりもすぐれた新しい介護技術」をめざすわけではありません。巷には「これで楽々!」とか「腰痛ゼロ!」といったうたい文句の<新しい介護技術>があふれていますが、私はそれらも含めて、現在行われている技術体系を尊重したいと思っています。
なぜなら、古武術介護がめざしているのは、個々の技術ではなく、その基盤を支える「身体の使い方」を改善していくことだからです。
パソコンにたとえるなら、古武術介護は「OSをモデルチェンジしていく試み」ということがいえるでしょう。パソコンの各種アプリケーションソフトが「個々の技術」だとすれば、それを最大限有効活用していくようなOSを作っていくこと、それが古武術介護という試みだと考えています。


解説








